なんとなく富士山に登りたくなって、
なんとなく富士山のガイドブックを買って、
どうせ登るんだったら天気がいいほうがいいと予報で晴れマークだった
7月20日にしようとなんとなく決めた富士山登山初挑戦。
結果からいうと八合目まで登ったあたりから
吹いてきた強風に邪魔をされ山頂には立てなかった。
残念だけどくやしい気分は無い。
まったく無いといわれればウソだけど
「また登ればいいさっ!」ってなんとなく思った。
山ではやめる決断も必要!
なんて一端の事を思ったりもしてる・・・・・・



準備は万端!


旅籠屋にて・・・
荷物の確認。全部入れたら結構な重さだ!



無理は禁物と前日、山中湖の旅籠屋に泊まった。
ビールを2缶飲んで寝たけどあまり寝付けない。
やっぱり少し興奮気味・・・
うとうとしてたら目覚ましが鳴った。支度をし
午前2時すぎ、山中湖の旅籠屋を出発した。

真っ暗な富士スバルラインを走り
深夜3時ちょっと過ぎに河口湖口五合目駐車場に到着。
夏の富士山登山シーズンの週末やお盆の頃はスバルラインや
ここ五合目の駐車場は深夜からひどく混雑するというが
今日は平日、らくらく車を止められた。風は少しある。
薄雲があるものの星も見えた。
しばらく空を眺めていたら流れ星も見えた。
エルは車のケージの中から早く出せとうるさい。
これから長い登山とも知らずに凄いはしゃぎようだ・・・

駐車場の近くの明るいところで一人若者がしゃがみこんでいた。
夜の10時から登り始めたが八合目辺りで頭が痛くなり
山頂を断念して下山して来たと言う。高山病になったらしい。
少し話をしていたらその若者の携帯が鳴った。
一緒に行った仲間が山頂に立ったという話しの内容だった。

富士山の登山で気を付けなければならないのが高山病だと聞く。
富士山は標高が高いから空気が薄くいきなり登り始めると
高山病にかかりやすいらしい。
ここ五合目はすでに標高2500m程の高さにある。
星を眺めたりそこら辺をウロウロしたり
ここで少しゆっくり体を慣らしてから登り始めるのがいい。


4:02
暗闇に山頂が浮かぶ。
さあ、出発!



駐車場から登山道入り口まではなだらかな遊歩道。
東の空が明るくなってきた。そろそろ日の出の時刻。
雲海もすごくきれいだ!見たかった風景だ。


「さあ、一日の始まりだ!」



AM4:28



AM4:32
山中湖が中央下に見えます。



AM4:38
真っ赤に染まる空と雲海。
雲がまるで波しぶきのようだ。



六合目の安全指導センターに到着。
下山時の注意事項のパンフレットをもらう。
富士山には何本もの登山道と下山道があり
間違えて降りてしまう人が多いそうだ。
特に車の人は置いた所と違う所へ降りてしまうと
せっかく降りてきた道を分岐点まで登り返すか
タクシーやバスなどで車を置いた駐車場まで行くことになるよう。
どちらも大変なようですよ。

AM4:54
センターの気象情報ボードには「北の風強く・・・」と書いてある。



センターを過ぎると
いよいよ頂上へ向け登り始め。
ジグザグに登山道がある。
遠くに7合目の山小屋群が見える。

 
遠くで見る優雅な富士山とは違い近くで見ると
荒れた山という感じがする。



上を見るとうんざりするが下界を眺めるのは気分がいい。
エルも時々下界を眺めてた。エルはこの景色に何を思うか・・・


「すげ〜」



山中湖に朝日が映ってますね。



始めは砂利道って感じの登山道だけど
7合目の山小屋付近に来ると岩場も出てくる。



7合目の山小屋群直下に到着。標高2700m。
7〜8軒の山小屋が上に向かって並ぶ。



AM6:00、初めての山小屋に到着。
ちなみにここ花小屋の収容人数は150人。
シーズン中のピーク時などは随分と窮屈な寝床になるらしい。
もちろんワンコと一緒に泊まるのは無理。
ガイドブックには山小屋の前にある長椅子にずらっと並んだ
登山客が写っていたが今日は空いていた。
富士山登山はやっぱり平日が良い。

  



7合目に入ると岩石の岩場を登るようになる。
急だけどそれでもそれほど難しい岩場ではなく
1歩ずつ着実に登って行けばなんでもない。
富士山は老若男女もワンコも登れる日本一の山!

スイスイとピョンピョンと登っていく
意外とたくましいんです、エルは。



何軒もの山小屋を通過する。



山小屋では宿泊や食事の提供のほか
登山に必要ないろいろな物が売っている。
ジュースに飴やチョコレートやビスケット・・・
昔の駄菓子屋の感じかな?



今回、エルにはおよそ一時間に一回の
休憩ごとにクッキーのおやつをあげた。
登山が嫌いになってもらっては困りますから・・・


「もっとちょうだい・・・」



登る辛さのごほうびは何といってもこの雄大な景色
空気もおいしい!

  



AM7:00、鳥居のある山小屋に到着。
もうすぐ標高は3000m。



富士山はゴミの問題の他にもし尿の問題もあるようで
最近はいろいろ工夫されたトイレが出来ているのだそう。
使用料金一回100円以上のチップ制。
忘れずに支払い富士山の環境に協力しましょう。


新しくきれいだったトイレは一応水洗トイレ。
流れる水の出方は極限まで少ない。
貴重な水ですから。



さらに登ります。急でゴツゴツした岩場が続きます。
ちょっと遅かったがエルに靴を履かせた。
雪道では履きこなしてくれたが岩場ではどうかな?
後足は脱げてしまうので前足だけ装着。
今のところエルの肉球に異常なし。


  



7時40分やっと標高3000mに到着。
空気、薄いかな?



3000mを超えると息苦しいような、そうでないような・・・
せっかく携帯の酸素買ってきたから試しに使ってみた。
効くような・・・効かないような・・・
ス〜ハ〜ス〜ハ〜
エルもス〜ハ〜ス〜ハ〜

  


復活!?
なのだ〜〜〜


気分爽快!?



AM8:00、
8合目に到着。標高3100m!


山頂まで2Km あと180分の表示板にちょっとぞっとした。
あと、3時間も上に登るの〜〜〜



まだまだ登る、ひたすら登る。
今日で富士山3度目の挑戦というご夫婦に会った。
残念ながら2度とも登頂は果たせなかったという。
ゆっくりあせらず一歩一歩登る。
富士山登頂成功の秘訣の一つらしい。



8合目まで来ると急に風が強くなってきた。
時々突風が吹く。



AM9:20。標高3400m!って喜んでる場合じゃない。ここに来て風が凄く強くなった。
体が風で横に振られる。崖っぷちの細い所を歩くのはよろけて落ちそうで怖い。
エルは飛ばされないか心配にもなる。山頂の方を見ると雲の流れが早い。
山小屋の脇の風のあまり当たらないところで10分ほど休憩したが風は一向に止まない。



再び歩き始めるが強い風が怖い。「今日は無理かな・・・」と思った。
山小屋の前を通過しようとしたら山小屋の方に
「中で温かいものでもいかがですか?」と声を掛けられた。
ありがたくエルも中に入れてもらえた。正直ほっとした。
山小屋の中には風を逃れ休憩している人が20人ほどいた。
強風の中、何人かの方が山頂を目指し外に出て行ったが
5分も経たないうちに「やっぱりムリだ」といって戻ってくる。
諦めて下山する人もいる。我が家はもう少しここで様子を見ることにした。
うどんを食べとコーヒーを飲む。山小屋の中の気温は10℃そこそこ。
じっとしていると寒い。しばらく待ったが益々風が強くなってくる感じ。
ヒューヒューと風の音が凄い。ガタガタと山小屋が鳴っている。



これ以上待っても風は止みそうにないし
これ以上待ってもっとひどくなったら下山はどうなるか・・・
残念だけど今回の登頂は諦めることにした。
「また登ればいいさっ!」
お世話になった山小屋のスタッフの方達と記念写真を撮った。
「絶対にまた来ます!」と言って山小屋を出た。
みなさんエルのことかわいがってくれた。



山小屋のご主人がエルの後ろ足を見てこれを履かせて下山しなさいと使い古しの手袋をくれた。
前足だけ履かせていれば大丈夫かと思っていたが下山専用の道はヤスリのようなガレキらしい。
でも、これをどう固定するか。実は穂高ドッグランの社長さんに富士山登山の事を言ったら
薬局に売っている収縮性の包帯のようなテープが役に立つとアドバイスを受けていた。
そのテープがここで威力を発揮。手袋の上からテープをぐるっと巻くだけ。
それだけで下山最後まで脱げることはなかったし肉球も痛めることはなかった。
山小屋の主人とやっぱり山が好きな穂高の社長さんのアドバイスによって
エルの肉球が守られたと言っても過言ではない。ありがとう!
AM11:00下山開始だ!

山小屋でもらった2組の手袋 エルに履かせテープで巻く

 



決して間違えてはいけない分かれ道。
我が家は河口湖方面から来たのでその標識の通りに進みます。
悪天候の時は見落としてしまいそう。



単調な下山道。こんな感じの道をジグザグ降りていきます。
軽石のように細かい穴がたくさんあいた石は滑りやすい。
おまけに歩くたびに細かい砂埃が立つ。
目線が地面に近いエルはこのホコリまともに受けてしまう。
人もエルも黒い目やにが出てきます。
汗をかいた顔にはその砂埃が付きみんなまっ黒。
髪の毛はボソボソになる。
膝も痛くなってきた。


はぁ〜ちかれた・・・



エルがしゃがみこんでしまう場面が多くなる。


AM11:40



少し降りると風が落ち着いてきた。
山頂の方を見ると雲の流れが速い。
下界は雲海包まれている。
なんとなくほっとする景色だ。


AM1:40



PM3:00やっと5合目の駐車場に到着。
下山は4時間かかった。
山頂には行かれなかったのは残念だけど
富士山初挑戦は有意義だった。
天候にさえ恵まれ、
のんびり登っていけば意外と登れちゃうと思った。
でも、悪天候の時は引き際も大事だと感じた。
いつかまた、登ってみたいと思う。


こけももアイスで締め!


五合目の駐車場ではバスツアーのおばちゃんたちに囲まれ
「富士山に登ったの?」などと質問攻めにあった。
「この子靴はいてるよ〜」なんて言われた。
五合目の『賑やか』がなんとなく心地良かった・・・
いい山登りだった!